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naoggio写真日記

 先日東急Bunnkamura で開催されている 『バンクス花譜集』展 を見てきました。博物画には以前から興味があったので見逃せない展覧会でしたが、期待通り、と言うか期待以上に見応えのある展覧会でした。
 キャプテン・クックのエンデバー号の航海に同行した博物学者ジョゼフ・バンクスは、帰国後莫大な資金と労力を投じて植物図譜の出版を目指します。しかしながら航海を共にした植物学者のダニエル・ソランダーの死や資金不足もあり、とうとう生きているうちに出版にこぎ着ける事はできませんでした。そして航海から200年余を経た1980年代になって、彼の遺した銅版をもとにようやく100部限定で出版されたのが『バンクス花譜集』です。
 734点の花譜集の中から選りすぐりの120点を展示したというだけあって、会場に並べられた作品はどれもとても素晴らしいもので、当時のエッチング技術の高さには舌を巻きます。格調高く美しく精緻な作品の数々には本当に圧倒されました。
 さて、この花譜集の原画を主に描いたのが画家のシドニー・パーキンソンでした。パーキンソンはエンデバー号の狭い船室で、航海の途上で集められてきた標本に埋もれながらスケッチを続けたといいます。そして航海の途上、ケープタウンに着く前に赤痢で命を落とします。26歳(推定)の若さでした。
 パーキンソンの事は全く知らずにこの展覧会を見に行ったので、それを知った時にはちょっとショックでした。残された肖像画を見るといかにもひ弱そうに見え(実際にどうだったかはわかりませんが)、そこがまた気の毒に思えてしまいます。
 バンクスはパーキンソンの遺族に多額の報酬を支払ったといいますが、やはり彼の功績を大きく評価していたのでしょう。
 エンデバー号の航海は帰還までのおよそ3年間の間に、90名の乗組員のおよそ3分の1が亡くなった過酷な航海だったそうですが、未知の探求にかけた人々の並々ならぬ闘志を感じる印象深い展覧会でした。

 ところで『バンクス花譜集』のエッチングはもちろん大変素晴らしいのですが、パーキンソンの残した植物画が、これまた大変素晴らしいものなのです。手持ちの書籍やウィキにパーキンソンの描いた絵の画像がありましたので載せておく事にします。
 
 
1502196DIMG_0021.jpg           Sydney ParkinsonIMG_0026
   展覧会の図録。とても可愛らしい装丁です。                 シドニー・パーキンソンの肖像画




Banksia_serrata_watercolour_from_Banks_Florilegium.jpg 1502246DIMG_0071.jpg
   パーキンソンの描いたバンクシア・セルラータ        『バンクス花譜集』のバンクシア・セルラータ    
                エッチングに起こす時に左右反転しているのが面白いですね。





800px-Banksia_dentata_watercolour_from_Banks_Florilegium.jpg
パーキンソンの描いた バンクシア・デンタータ


1502156DIMG_0030.jpg
Martyn Rix の『Golden Age of BOTANICAL ART』の中にあったパーキンソンの作品。見事な筆致です。

以上画家パーキンソンに焦点を当てて書きましたが、『バンクス花譜集』展はBunkamura ザ・ミュージアムで3月1日までの開催です。






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  1. 絵画
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  3. / comment:6
  4. [ edit ]

  1. 2015/02/27(金) 16:47:27 |
  2. URL |
  3. ダンダラ
  4. [ edit ]
この前お邪魔した時に拝見した本でしょうか。
26歳の若さでこれだけ見事な絵をかくというのは、やはり天才だったんでしょうね。
バンクシア・セルラータの図は左右反転だけでなく細部が微妙に違っているところがあるように思いますが(一部の葉の形とか、枝の切り口とか)、図録に入れるときに修正したんでしょうか。

Re: タイトルなし

  1. 2015/02/27(金) 23:06:16 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
>ダンダラ さん
はい。先日お見せした図録です。
パーキンソンはおっしゃるように才能豊かな画家だったと思います。
だからこそバンクスのお眼鏡にかなって航海に同行する事になったのでしょう。
結果的には悲しい結末となってしまった訳ですが。
絵のディティールの相違ですが、スケッチをエッチングに起こすに当たっては元のスケッチに忠実である事はもちろんですが、より見場がよく構図も完璧にという意図があったと思います。
エッチング職人達の美意識や心意気もあったでしょうし、もしかしたら実際に植物を見たり採集したりしたバンクスからの指示もあったのではないかと推察されます。
ところで記事には書きませんでしたがパーキンソンとは別のジャンルの画家もエンデヴァー号に乗船していたのですが、航海の途中の早い時期に亡くなってしまい、パーキンソンがその人の分までスケッチをしなければならず大変だったそうです。
過労もパーキンソンの死因の一つだったかもしれませんね。

キャプテンクック

  1. 2015/03/02(月) 17:55:22 |
  2. URL |
  3. 虫林
  4. [ edit ]
エンデバー号はキャプテンクックの第1回目の航海ですね。やはり過酷な航海になっていたのが容易に想像できます。パーキンソンの細密画は今見ても恐ろしいほどの技術です。驚きました。

Re: キャプテンクック

  1. 2015/03/03(火) 13:32:49 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
>虫林 さん
はい。1度目の航海です。
皆さん大変な苦労をされての帰国だったようですね。
ウィキによるとバンクスは2度目の航海の時にも同行するつもりがあったようですが
興味深い事情で取りやめてしまったそうです。
パーキンソンの絵は素晴らしいですね。
惜しい若者を亡くしたものだと思ってとても残念です。
長生きしてもっと色々な絵を残していてくれたらなあとつくづく思います。
エッチングもいいですが、やはりオリジナルのドローイングの方が魅力ありますし。

  1. 2015/03/06(金) 21:35:24 |
  2. URL |
  3. Sippo☆
  4. [ edit ]
新たな世界を見せて頂きました。
26歳・・・!?
反転。
なんか、私も反転した印象の方が好きだなあ、、
左を向いている方が、「希望」のイメージが沸いてきます!

Re: タイトルなし

  1. 2015/03/07(土) 14:36:33 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
>Sippo☆ さん
絵でも写真でも、ちょっとした事でずいぶん印象が異なって見えますね。
Sippo☆ さんが、被写体の隅々までピントにこだわられるお気持ちがよくわかります。
パーキンソンは26歳の若さでこの世を去ってしまった訳ですが、
このような仕事を残し、今に至るまで私達の目を楽しませてくれている事に感謝せずにはいられません。
「希望のイメージ」ですか、前向きな Sippo☆ さんらしい表現ですね。
パーキンソンも喜んでいるのではないでしょうか。

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