主に蝶の写真を中心にアップします。

naoggio写真日記

         先日町田のSさんと県内にギフチョウ撮影に行ったおりに、国産アトムレンズの横綱(放射線量の)とも言
         われる SUPER TAKUMAR 50mm f1.4 の放射線測定をしたお話を伺った。
         アトムレンズとは1950〜60年代に放射性物質である酸化トリウムを含有したガラスを使用して作られ
         たレンズの事。1948年にアメリカで開発された技術らしい。当時トリウムで原子力発電という計画があ
         り、結局技術的に頓挫しているので、或は余ったトリウムの使い道を探してできたものかもしれない(全く
         の憶測だが)。トリウム-232 を酸化処理した酸化トリウムは融点も高く扱い易くなる。これを光学レンズ
         に混ぜる事でレンズの屈折率を高める事ができる。要するに低分散ガラスの事である。
      
         やがて放射能に対する認識の変化から姿を消した(現代の低分散ガラスは含有物質が置き換えられている)
         が、例えば沈胴時代の summicron にもアトムレンズのものがあり、そうでないものより高値で取引され
         ているらしい。
         含有している酸化トリウムから発せられる放射線が原因の経年によるガラスの黄変はよく知られている。ペ
         ンタックスにはアトムレンズが多く、最近手元に届いたこの6×7用の SMC TAKUMAR 6×7 105mm f2.4
         もその一つだ。
         

   160412tg3P4120002.jpg   160412tg3P4120014_1.jpg
         もともと黄変ありと商品説明にもあったのだが、手元に届いた個体は予想以上の黄変ぶり。これだとさすが
         にフィルム撮影は厳しそう。でも黄変以外はコンディションも良く、御値段も安いので充分満足。紫外線療
         法は後日試すとして、まずは気になる放射線量を計測してみた。
         会社のS氏からお借りした線量計で後ろ玉と前玉、それぞれの中心に線量計のセンサーが来るようにし、レ
         ンズ面から1cmほどの所で測定してみた結果・・・



160412tg3P4120008.jpg
         後ろ玉側 2.5μSv/h 高レベル警告の赤が出た。これだけで見ると政府の定めた除染基準値越えてる ! 的
         な話になるが、その除染基準値には地上50cm〜1m で測定と言う条件がついている。因に線量計をレン
         ズから40cmほど離しての測定では自然空間線量と思しき0.09μSv/h まで落ち込んだ。まああまり
         意味のない数値ではあるが、後ろ玉から少なくない量の放射能が検出された事は確かだ。
         トリウムの半減期はベラボーに長く140.5億年。これからもほぼ未来永劫問題なく放射能をばらまき続け
         るのは間違いないようだ。



160412tg3P4120022.jpg
         前玉側 0.69μSv/h 中レベル警告の黄色。


         厳しいとは思いつつ、カラーリバーサルフィルムで撮影を敢行。ボディーにつけてファインダーを覗いてみ
         ると、Y2フィルターとW2フィルターを足して2で割ったような色が乗っている。無論現像が上がって来
         たスリーブを見てもほぼそのイメージで色が被っている。スキャナーとフォトショップでできる限り補正し
         た画像を掲載する。
         色味はともかく、TAKUMAR 105mm f2.4 の写り方には陶然とならざるを得なかった。


   1604096790img267.jpg   16040967105img266.jpg
         40年近く使用している TAKUMAR 90mm f2.8 との画角やボケ方の相違を把握しておこうと思い、夕方
         の庭に三脚を立ててそれぞれ開放で撮影してみた。
         左が90mm、右が105mm だが、画角による印象の違いは数字以上に大きく感じられる。右の写真はティ
         ーセットの乗ったアイアンテーブルをぐっと引き寄せたような感じがする。ボケ量もかなり異なり、左の写
         真ではティーポットの後ろのミルクポットのアウトラインはまだけっこうしっかりしているのに対し、右の
         写真ではすでに相当ボケているのがわかる。奥のアイアンチェアーになるとその差はさらに顕著だ。
         

16040967105img270.jpg
         PENTAX 6×7 / TAKUMAR 6×7 105mm f2.4 / Velvia 100
         

         以下は4月10日にフランス山や港の見える丘公園で撮影した写真。
         撮影は全てPENTAX 6×7 / TAKUMAR 6×7 105mm f2.4 / Provia 100 F


     16041067105img274.jpg
         



     16041067105img273.jpg
 



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16041067105img300.jpg

         90mm f2.8 よりさらに大きなボケ量を有するこのレンズ、当たり前だが90mmよりさらにボケに呑み込ま
         れ易いという事がよくわかった。開放付近での撮影に際しては背景との距離感の把握が大切になってくる。
         35mm判で考えれば f1.2〜f0.95 の、例えばライカのノクティルクス のようなレンズでないと味わえない
         この世界、重たいカメラではあるが可能な限り出番を作って私自身じっくり楽しみたいと思う。
         重さに見合うだけの臨場感、詩情を醸し出してくれる銘玉ではないだろうか。





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  1. カメラ
  2. / trackback:0
  3. / comment:2
  4. [ edit ]

  1. 2016/04/16(土) 21:50:44 |
  2. URL |
  3. Akakokko
  4. [ edit ]
放射能を発するレンズなんて初めて知りました。
1cm接近の線量がすごいのですね。
カメラに装着した時のアイレベルでの線量が気になります。

Re: タイトルなし

  1. 2016/04/17(日) 10:48:38 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
> Akakokko さん
はい。それがけっこうあるんです。
国産ではペンタックス、キャノン、ミノルタ、オリンパスなどで見られるみたいです。
もっと線量の高いレンズもあり、スーパー・タクマー50mm f1.4 など後玉直前で5μSvは軽くいくみたいですよ。
因にカメラにつけた場合背面ではほぼゼロに近くなります。
でも一眼レフつけてファインダーを覗くのは気分的に嫌なのでなるべくミラーレスで使いたいです。
6×7の場合はこれをフルサイズで活かせるボディーやデジタルバックがないので仕方ないのですが。

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青山学院の近くで、オーダー家具のショップをやっています。
このブログでは仕事と関係ない趣味の写真を中心に、日々の出来ごとや思い出など書いて行こうと思います。
家具に興味をお持ちの方は、リンクトップの「order furniture standards」の方にも、是非遊びにいらして下さい。

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