FC2ブログ

日々のスナップ、風景、そして蝶の写真など

naoggio写真日記

         新港埠頭の横浜海上防災基地の隣りに「工作船資料館」という建物がある。小ぶりの体育館くらいの大きさ
         の建物で、正式名称は「海上保安資料館横浜館」。
         2004年に開館した資料館で、建物の中には2001年12月に発生した九州南西海域工作船事件に関係
         した資料が展示してあると聞いていたが入ったことはなかった。

         当事件で自動小銃やロケットランチャーを用い海上保安庁巡視船と交戦した後自爆、沈没した不審船は、た
         またまその水域の水深が当時のサルベージ技術の限界といわれた 90m 程度であったために、翌年政府の決
         定により引き揚げられ詳細な調査が行われた。その結果、同船が覚醒剤取引や工作員の出入国に使用されて
         いた北朝鮮の工作船とほぼ断定されるに至った。

         漁船を装ったこの工作船は非常に特殊な構造で、後部ハッチを開いて小型船艇を収納できるようになってい
         た。この小型船艇も漁船を装っているが3基のエンジンと3基のスクリューを備え、なんと推定50ノット
         (時速90キロ)の速力が出せるという。伊豆七島に就航している東海汽船の全没翼型ジェット水中翼船の
         最高速力が43ノット(時速80キロ)であるのを考えると驚きの数字である。
         そして親船も1100馬力のディーゼルエンジン4基(この規模の漁船の10倍の出力)と、それにシャフ
         トで直結された4基のスクリューを備え、33ノット(時速61キロ)の速力を有するという。
         追跡にあたった巡視船の「いなさ」「きりしま」などは快速船であるが、それでも最高速力は35ノットな
         ので追跡は容易ではなかったろう。

         引き揚げた工作船からは様々な武器や回収品と共に遺体も7体見つかり司法解剖を受けているので、そんな
         船の残骸など見たくない気もしたが、歳をとってくるとなんでも見られるものは見ておこうという心境にも
         なるらしい。


         
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         工作船の舳先を見上げる。船というのは海に浮かんでいると小さく見えるが、部屋の中に収まると30メー
         トルほどの船体がずいぶん大きく見える。




 180907em140_tP9070110.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO トリミング>
         工作船の模型。後ろにいるのが格納されていた小型船艇。




 180907em140P9070124.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         並んだ4基のスクリュー。




 180907em140P9070140.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         船尾のハッチは観音開き。甲板部の楕円形の穴と左端に見えているパイプは扉を閉めた時につながるように
         なっていて、これがつまりトイレ。




 180907em140P9070148.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         小型船艇の格納庫。ここにある程度海水を入れて小型船艇を浮かせて出艇させたのだろう。小型船艇にはさ
         らに水中スクーターが積載されていて、これで水中から密かに上陸することができるようになっている。




 180907em140P9070151.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         FRP製の小型船艇。これが舳先を持ち上げて時速90キロで走っていたら焦る。




 180907em140P9070156.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         甲板で使用できるように格納されていた14.5mm対空機関銃の銃口・・・




 180907gfx120DSCF1271.jpg
         <FUJIFIILM GFX 50S / GF120mm F4 R LM OIS WR Macro>
         と照準器のオープンサイト。




 180907em140P9070168.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         階段を上った渡り廊下から甲板の様子も見られるようになっている。




 180907em140P9070132.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         錆止めの上に緑と青のペンキが塗り重ねられている。以前は緑色の船体だったのかもしれない。




 180907em140P9070179.jpg
         <OLYMPUS OMD E-M1Ⅱ/ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO>
         なんともしたたかな表情の船体塗装。ジョルジュ・ルオーの油彩画↓を思い出してしまった。

         ジャンヌダルク部分 ルオー『聖女ジャンヌ・ダルク』(部分)




 180907gfx120DSCF1268.jpg
         <FUJIFIILM GFX 50S / GF120mm F4 R LM OIS WR Macro>
         後部ハッチのごついヒンジ。この辺りで息が詰まってきたので資料館を出ることにした。




 180907gfx120DSCF1294.jpg
         <FUJIFIILM GFX 50S / GF120mm F4 R LM OIS WR Macro>
         岸壁にはいつもの大型巡視船「あきつしま」。他にも何隻もの巡視船が停泊している。資料館を見学した後
         だといつもと見え方が違う気がする。海上保安庁の狙い通りだ。




 180907gfx120DSCF1304.jpg
         <FUJIFIILM GFX 50S / GF120mm F4 R LM OIS WR Macro>
         赤レンガパーク岸壁と防災基地桟橋がくの字にぶつかるところに昔の船着き場の階段が残っている。ここが
         貨物岸壁として使用されていた頃の名残である。






スポンサーサイト

  1. 横浜風景
  2. / trackback:0
  3. / comment:2
  4. [ edit ]

  1. 2018/09/17(月) 22:26:02 |
  2. URL |
  3. 10max
  4. [ edit ]
こんばんは。
2001年のこの事件、恥ずかしながら知りませんでした。
北朝鮮の工作船と実際に実弾で交戦するような事案がかつてあったのですね。
なんとも生々しい船体の様子です。
外へ出たときの空気がさぞかし美味しかったのではないでしょうか。

Re: タイトルなし

  1. 2018/09/18(火) 11:28:48 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
>10max さん
この工作船事件、当時けっこう騒がれていたのですが実は私もすっかり忘れていました。
以前から「工作船資料館」の看板は目にしていたのにしばらく前までこの事件と結びついていませんでした。
人の記憶なんてあてにならないし、だからこそ人間社会もなんとかこれまでやって来られたのかもしれませんね。
記事に書くのを忘れましたが1枚目の写真の左舷側(向かって右)に空いている幾つかの穴が射入口で右舷側の穴が射出口です。
戦闘の痕がけっこうまがまがしく残っていました。
おっしゃる通り、外に出てほっとしました。

 管理者にだけ表示を許可する
 

プロフィール

naoggio

Author:naoggio
横浜でオーダー家具のお店をやっています。このブログは仕事と関係のない日々のスナップや過去の写真、また大好きな蝶の写真を中心にアップしていきます。家具に興味のある方はリンクトップの会社ホームページにも是非遊びにいらして下さい。

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2018 11  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -