主に蝶の写真を中心にアップします。

naoggio写真日記

また標本の写真で恐縮ですが3月3日の記事でお約束したシボリアゲハ属の蝶3種類+ブータンシボリアゲハの写真を掲載しておきます。
正直申し上げてこのような日が来るとは夢にも思っていませんでした。つまり、私がパソコンに向かってシボリアゲハ属の蝶全4種類の写真を編集し見比べているというこの状況のことです。
まず私はもともと大のパソコン嫌いで、今でもワールド・ワイド・ウェブこそ人類が開けてはならなかったパンドラの箱だと思っているくらいなのです。そしてウンナンシボリアゲハという、1981年の再発見までは世界にただ1頭の標本が存在するのみだった幻の蝶、さらに80年もの間再発見されなかったブータンシボリアゲハの標本を自らの手で撮影し、それらの写真を嫌いなはずのパソコンからウェブ上にアップロードしようとしているのです。
世の中も自分も変われば変わるもの。この30~40年は本当に大きな転換の時代だったのではないでしょうか。

こうしてこれらの標本写真を眺めていて思う事。それは憧れていたものを手にした喜びとは少し違うような気がします。
今私が感じている事は、地球が狭くなってしまったなあという寂寥の思いに他なりません。



翅表の写真はモニター上でだいたい1.3~1.4倍に表示されていると思います。4種類の大きさの比較ができるようほぼ同倍率(裏面は除く)にしたつもりです。



ウンナンシボリアゲハ Bhutanitis mansfieldi

1203037DIMG_2848.jpg
シナシボリアゲハ Bhutanitis thaidina

I01203037DMG_2852.jpg
シボリアゲハ Bhutanitis lidderdalli


1203037D_1IMG_2646.jpg
ブータンシボリアゲハ Bhutanitis ludlowi

1203037DIMG_2841.jpg1203037DIMG_2809.jpg1203037DIMG_2853.jpgブータンシボリアゲハを除く3種類の裏面の比較

お気付きの方もいらっしゃるかと思いましたので書き添えておきますと、シボリアゲハの腹部は途中で切断されて短くなっています。これは交尾器の形態を調べるために切断したもので、苛性カリ溶液で湯煎して交尾器を取り出しました。高校生の頃原始アゲハの系統発生に興味を抱いていたのでギフチョウとの比較を含めて調べてみたのですが自分自身すっかり忘れてしまっていました。標本のラベルの下に摘出した交尾器のvalva(把握器)等が糊付された紙片(下の写真)が刺してあったので思い出した次第です。
valvaは交尾器の中でも形態的特徴が強く現れる部位ですが、その形態は私が見たところではギフチョウよりアオスジアゲハ属に近い印象を受けました。無論分類学的にはそのような事はあり得ないのですが、それはそれで当時の私にとってはちょっとした驚きでした。


IMG_2915.jpg
シボリアゲハの交尾器の1部を糊付したラベル。摘出作業に慣れていないので湯煎し過ぎのようです。



早く冬眠から覚めてフィールドに出たいものですが明日もあさっても天気は悪そうですね。




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  2. / comment:12
  3. [ edit ]

素晴らしい

  1. 2012/03/09(金) 23:56:39 |
  2. URL |
  3. ごま
  4. [ edit ]
美しさに圧倒されてしまいました。
素晴らしいものを見せていただきました。
ありがとうございました。

ブータン

  1. 2012/03/10(土) 08:02:06 |
  2. URL |
  3. アッキーマッキー
  4. [ edit ]
おはようございます♪
すごい!
どれも美しい標本ですね。何十年経ってもこんなにキレイに残っているんですね。僕も引越が多く、すててしまったものがいっぱいです。
それにしても、高校生の時から世界を駆け巡ってたんですか!うーん、とても僕には無理(うらやましいの意味です)。

No title

  1. 2012/03/10(土) 09:10:51 |
  2. URL |
  3. BANYAN
  4. [ edit ]
やはり僕とは数段思い入れが違いますね。
この記事を見てから出掛けていたら少し感動を共有できたかもです。(笑)
標本を調べるという好奇心にも脱帽です。
こうして並べるとギフチョウと共通点も感じます。かなり近い種類なのでしょうか。

No title

  1. 2012/03/10(土) 14:29:50 |
  2. URL |
  3. midori
  4. [ edit ]
高校生時代から興味を持たれていたということで、いろいろと大変お詳しいのですね。
私には、単純に“ギフチョウ”に似ているなー、としか思えませんでした...(恥)

Re: 素晴らしい

  1. 2012/03/10(土) 20:28:35 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
> ごまさん
初めてシボリアゲハを見た時その美しさにびっくりしたものです。
その後この類縁が他に3種類いる事を知りましたがどれもこれもほとんど幻のような存在でした。
4種類全ての実物が見られるようになるなんて夢のような話で今でも信じられない思いです。
でもみんな見つかってしまうとちょっと寂しい気もしますね。

Re: ブータン

  1. 2012/03/10(土) 20:34:30 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
> アッキーマッキーさん
残念ながら標本は私が採集したものではありません。標本商で買ったものです。
でも気持ちだけは現地に行った事を夢想しながらこれらの標本を眺めていました。
機会があればこんな蝶を見に行ってみたい所ですが今はちょっと無理です。
でもいつかはカメラを持って行ってみたいものですね。

Re: No title

  1. 2012/03/10(土) 20:48:04 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
>BANYANさん
生きている蝶の魅力に取り憑かれている今となっては標本の価値はかつてほど感じなくなってしまいましたが、中学生のころは標本にしか興味がありませんでした(笑)。
ヒマラヤの造山活動に絡んだ原始アゲハ進化のドラマは少年時代の私の心を熱くしたものです。
シボリアゲハ属とギフチョウ属はかなり近い親戚だと思います。ウンナンシボリとギフチョウを見比べていると、ちょっと大袈裟に言えば「どこが違うの?」と言いたくなるくらいそっくりです。系統発生学の見地から見てとても面白い対象でした。今はゲノム解析という伝家の宝刀があるのでどなたかホソオチョウを含めてその辺の事情を詳らかにした本でも書いてくれたらなあと思っています。

Re: No title

  1. 2012/03/10(土) 20:56:53 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
> midoriさん
私など最初にシボリアゲハを見た時にはギフチョウに似ているなあとも思いませんでした。
ただただ奇麗な蝶だなあと感心しただけでした。
後になって近縁の種類なのだと知って初めてそっくりだなあと思った次第です。
そしてよく見てみると本当にギフチョウと同じパターンの模様なので、その体験が生物進化に興味を持つきっかけの一つになったようです。

No title

  1. 2012/03/10(土) 23:43:28 |
  2. URL |
  3. hayenokaze(南風)
  4. [ edit ]
こういう風に一度に見られると、改めてシボリアゲハの素晴らしさが判りますね。

ところで、ウンナンシボリアゲハが見つかった時の、新聞の切りぬきを探し出しましたのでスキャンしてアップしました。
改めてすごい発見だったんだなと、思うしだいです。

http://www.mnet.ne.jp/~kawano/data/img035.jpg

No title

  1. 2012/03/11(日) 09:21:30 |
  2. URL |
  3. ダンダラ
  4. [ edit ]
こうして見るとウンナンシボリとシナシボリの裏面ってずいぶん似ているんですね。
翅表は明らかに違っているのに意外でした。
でもウンナンシボリの標本をもっているってすごいですね。
再発見以来かなり採集されたんでしょうか。

Re: No title

  1. 2012/03/11(日) 12:06:45 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
>南風さん
私もこの記事はスクラップしてあったはずなのですが見つかりませんでした。
懐かしい切り抜きです。ありがとうございます。
偶然とは言え、遭難と重なった事に何か人ならぬ力の存在を感じてしまいショックでした。
ご遺族の方のお気持ちを考えると何も申し上げられませんが、貴重な発見をザックの中に残して下さっていた事に感謝したいですし、ウンナンシボリアゲハが絶滅していなくて良かったと思いました。

Re: No title

  1. 2012/03/11(日) 12:20:14 |
  2. URL |
  3. naoggio
  4. [ edit ]
>ダンダラさん
本当ですねえ。表から想像するよりはるかに似ていますね。相当近縁である事は間違いなさそうです。
ウンナンとシナがセットでシボリとブータンがもう1セットみたいな感じがします。
ウンナンシボリですが再発見後別の産地も発見され、そちらの方の標本も一時かなり日本に入ってきたらしいです。けっこう採集されたのでしょうね。私も標本を買ったりしてその片棒を担いでいたのかと思うと気が咎めます。その後オウゴンテングアゲハのペア標本等も見かけ(会社が滋賀昆虫社の近くだったもので)喉から手が出そうだったのですが購入を諦めました(値段が高かったせいもありますが)。

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